panpipesはパンの笛ともいい、最も原始的なフル−ト属の気鳴楽器です。
長さの異なる数本の閉管を、上端を揃えて長さの順に筏型に並べ合わせるか、または円環状に並べて結びます。同じ長さの管が一列に並んでいる時は
一方は開管、他方は閉管です。
平に並んだ管の上端の切り口に、ハ−モニカのように息を吹き込んで鳴らし、2〜3オクタ−ブの音域が得られます。
構造が単純な割合に奏法が難しく、一管一音という不経済で無駄の多い仕組みのため、歴史の表舞台から忘れ去られようとしています。
材質には、葦の茎、竹、粘土、金属、滑石などが使われています。
この楽器は遥か古代ギリシャに起こり、半獣身パンの持ち物であったところから“パンの笛”の名が付きました。
パンが登場する神話を日本コロンビアのCD「故郷の風/岩田英憲・パンの笛」
の解説より転載。
「美しい妖精シュリンクスに恋をした牧神パンは、醜い容姿を嫌って逃げる彼女を河岸に追いつめてしまう。ところが、背後から喜び勇んでパンが抱きすくめたものは、シュリンクスの柔らかな姿態ではなく、水辺に茂る一本の葦だった。
唖然としたパンは、失望の溜息をもらした。溜息はシュリンクスの化身である葦に吹きかかり、葦はもの哀しい音色を発してパンに答える。想い醒めやらぬパンは、幾本かの葦を切って並べた笛を作り、シュリンクスを偲んで肌身離さず持ち歩くようになった。」
モ−ツァルトのオペラ「魔笛」の中で、パパゲ−ノがパンパイプスを持っているので、papageno flate(パパゲ−ノの笛)ともいう。
また、ドビュッシ−が「牧神の午後への前奏曲」の中で、この音を模している。
パンパイプスに属する楽器は、東ヨ−ロッパ、南アメリカ、中国、メラネシア、アフリカにもあるが、ル−マニアの民族楽器ナイほど芸術的に大きな感動を持って演奏されるものはない。日本でも、正倉院に排障(はいしょう)という名で保存されている。保存されている楽器で最古のものは、緑の滑石で出来ている八本管で、南米ペル−で発見されたもの。
(「音楽おもしろ雑学事典−長田暁二)より転記

パンパイプ